ほんとうに進路実績を伸ばす学校は、
たいていが人気先行で、その人気先行を活かして
ある程度までは上位に食い込む、ということ。
進路実績の割に入口の偏差値が低く見える学校は、
入学して卒業するまでの今後の6年間に
入口相応の実績に留まるリスクを隠し持っている、
そんな内容で書いてきました。
今回の基準に利用した首都圏模試センターの偏差値は、
多くの学校が軒並み上昇しているかと思えば、
冷酷にも(?)大幅小幅にダウンしているも
散見されるので妙にリアルなのですが、
もっとも合格者を多く出している入試回の偏差値こそ
信頼度が高いと考えると、いくつか「おや?」と
思える場面に出くわします。
それは学校によって、初回入試で合格者を確保している
ケースと、2回目の入試で合格者を確保しているケースに
分かれるからです。
一概には言えません。
言えませんが、初回入試で合格者が多い場合は、
他の入試回で倍率が上昇して合格ラインが上昇しても、
ボリュームゾーンは初回入試にあると見ることができます。
もちろん最難関クラスの第二志望として、安定した募集が
かなっている学校はその限りではありませんが、
たとえば2/1午後入試の合格者に全体の入学者レベルが
依存しすぎている学校では。年度によってのバラツキが
大きくなることが考えられます。何より、他校が午後入試に
新たに参入したら、流れてしまう受験層かもしれません。
それほどに第一志望の受験生の確保は重要です。
また第一志望が他校でも確実に第二志望に据えてくれる
受験生をしっかりつかまなければいけません。
この2点で今度は入試結果の推移と、結果偏差値をつきあわせて
いくなら、TOP100レベルの進学校でも6年後が心配な
学校はいくつも見つかります。
そして、そんな入試結果の推移と結果偏差値は、
進路実績の推移と高い確率で連動しているわけです。
東京・神奈川の入試解禁日は例年2/1ですから、
埼玉・千葉の1月入試では、第一志望者の比率は
当然下がります。そこで80%偏差値がどれだけ高くても、
入学者の平均偏差値は80%偏差値には届かないでしょう。
とはいえ、1月入試の人気校は受験者の絶対数が違いますから、
それなりに層が厚く80%偏差値と50%偏差値の差は
大きくは広がりません。
2017年の結果偏差値データでは
渋谷幕張で3、浦和明の星女子で4、栄東で5ですが、
5を超えると合格者をかなり多めに出していると言えるでしょう。
ところが東京・神奈川でも80%偏差値と50%偏差値のギャップが
もっともボリュームゾーンの入試回で5を超える学校があります。
巣鴨(5)、田園調布学園(6)、成城(5)、カリタス女子(7)、
順天(6)といった学校です。
()は80%と50%の差
カリタスと順天は午後入試ということもあるわけで、合格ラインを
つい緩めてしまった結果ということもできますが、
巣鴨、田園調布学園、成城の3校とも、このデータが
もっとも合格者を多く出しているのが初回入試でない点が気がかりです。
もちろん学校がより学力の高い生徒を獲りたい気持ちは
わかりますが、受験の世界では第一志望の受験生に甘くするのが
通例でしょう。
確かに歩留まりを少々読み違えても、複数回受験者の中から
繰り上がりを出せば済む話なのかもしれませんが、あくまで
他の進学校との相対的な比較で気になる点です。
こうして入試も進路実績も生き物のように年々揺れ動く存在のように
思います。中長期のビジョンと精密な戦略なしには、
数年で「順位」が入れ替わる過酷な世界だということです。
将来有望な上昇校を発見するより、いかに消去法を駆使して
失速しない学校に狙いを定めるか、が重要じゃないかと思うのです。
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