実際問題、たくさん受ければ、どこかに受かるはず
なんて甘い考えを持っている保護者がこの時点に至ってもいるようで。
いろんな志望校を試してみよう…と志望校欄にいろいろ書いてみる。
総じて上位の難関校を志望校欄に書いても、その学校が第一志望じゃないという
時点で「なんちゃって」だと思うのですが。
冷静に考えると、チャレンジ校の結果偏差値が60だとして、現時点の
偏差値が50であれば、何とか可能性のある54~57あたりまでは
早めにたどり着きたいと考えるのは、あくまで地力の部分であり、
その上に過去問攻略を果たして、いかに合格力をデザインするか、という
作業が残っているわけです。にもかかわらず、偏差値59や58の学校をいくら
学校欄に書いてもほとんど意味はありません。
仮に偏差値45の学校を書いて合格可能性80%をクリアしても、まあそこは
ホンネじゃない。つまりある程度の手ごたえを得たい、という目的であれば、
偏差値を散らして一応書いておけばいいということになります。
当然そんなことにも意味はありません。
本番の併願作戦がイメージできていないばかりか、いますべきことも見失っている
受験生が少なく見積もってもまあ2割ほどはいるんでしょうね。
さて、そんなことを思わせてくれたのが、またまた2/1AM入試志望者が
PM入試をどう見ているかの統計です。
先に午後入試を視野に入れている比率の高い学校を男子9校、女子7校紹介しましたが、
このうち午後入試への志望比率が前年よりもダウンした学校は各2校。
つまりはPM入試の志望率は徐々に年々上昇していることが伺えます。
本来であればPM入試は併願の戦略上有効に機能させるべきですが、単に一日程として
並べているだけなのでしょう。
逆に午後入試を視野に入れていない学校が以下の学校です。
男子は
女子は
4科入試の終了時間が遅い学校や、面接を行う学校が並びますが、
例えば麻布を受けて広尾学園の午後は
十分に受験可能です。そう時間が設定されています。
あくまでデータ上ですが午前に開成を受けて、午後に鎌倉学園とか淑徳とかそういう校名も
垣間見えます。鎌倉学園2/1PM算数入試は武蔵や麻布、駒場東邦志望者にも少数ながら
校名が見えますから、明らかに意図的に導かれたものでしょうね。
とはいいながら、この男子10校、女子4校の中で午後入試志望率が増加したのは、
男子4校、女子2校。その増加率もわずかで女子学院の+6%が最大値。
午後入試を視野に入れない学校は、毎年同じです。
容易に察しがつくところですが、女子学院志望者のPM入試志望トップは広尾学園です。
広尾学園だけで13%。裏返すと広尾学園が試験の開始時間を遅らせて上位校の併願者を
歓迎しているということです。
繰り返しになりますが、こうした広尾学園の例外を除けば、
・第一志望が固まった受験生ほど、そこしか見えない硬直した併願作戦
・志望順位が固まっていない受験生ほど、可能性を探りながらのつまみ食い
このアンバランスが本番までに解消されるようには見受けられません。
なぜ中学受験をするのか、そのためにどの学校がわが子に合うのか。
この手順を軽視した結果がこの10月のデータでしょうね。
そして、塾がそこへと誘導していることがうかがえます。
とても勉強になります。
次回は重複志望率からホンキで思われている学校を掘り下げて、
併願分析は小休止。この資料で気づいた歪みについて考えていこうと
思います。
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