生徒募集の安定につながる、

私立中学のさまざまな入試改革。

これまでさまざまな戦略が試されてきました。

建前としては入口と出口、つまり入試と進路実績は

両輪であるわけですが、そこは6年のタイムラグが

あるわけで、学校としてはそこに時間的猶予を

見出す、ことになります。

動かしがたい事実として、できるだけ偏差値表の

上のほうに校名が載ることは、優秀な受験生を集める

第一歩、という考え方があります。

志望順位はともかく、成績上位生に注目されることを

優先するということでしょう。

もちろん時間的な猶予を活かして、進路実績が

伴えば、入口出口の好循環が続くことでしょう。

最初は入試回数の増。

1回入試を2回に、2回入試を3回に。

第一志望の受験生だけでなく、他校が第一志望で

合格できなかった、もしくは最低限の合格を確保したい

受験生も集める戦略。

入試回数を増やすほど、第一志望の受験生の比率は下がります。

もし募集定員を変えずに入試回数を増やせば、各回の競争倍率は

一時的に上昇するかもしれません。

まあ、入試回数を増やして成功した実例はあまり記憶にありませんが。

続いては午後入試。

これも他校の午前入試を受験していても午後に入試を新設したら

併願受験できる、という戦略で、いまでは多くの学校が導入して

います。

一部の学校ではすでに出口実績が伴い始め、好循環が見られますが、

大多数は受験者数は稼ぐものの、第一志望者を年々減らして

いるようです。

前回紹介した東京都市大付属の類型別募集。

類型という名称ですが実質的にはクラス別(コース別)の募集ということになります。

「最難関国公立大」「難関国公立私大」という説明がついています。

まあでも簡単に言えば入試結果による成績別編成ということになります。

さて、中高は6年間。入試時点の成績別編成は固定でしょうか?

考えてみればわかることで、固定でも流動でも問題は生じます。

そもそもクラスを成績別に編成すること自体に否定的な意見も

あります。中高6年間の一貫教育で中弛みしないための、

成績別クラス編成かもしれませんが、よく言う習熟度別編成とは

厳密には異なります。得意教科を伸ばし、苦手教科を克服するのが

主眼であれば、教科ごとに編成を組み替えなければいけません。

入試区分で異なる名称で実施するのは「偏差値」を強く

意識した結果でしょう。

同様の意図で「特進クラス」募集をした学校がありました。

特進クラスの上に「スーパー」の冠をつけた学校もありました。

「東大」の2文字を含めた学校もありました。

これらのいったい何割が出口での満足な成果をあげているでしょうか。

午後入試では入試日程のフレキシビリティがメリットですが、

同日程でのクラス別募集は、ほぼネーミングの競い合いのように

思います。第一志望者を伸ばすことよりも、いかに上位校志望の

併願生を確保するかに主眼が置かれているように思うのです。

入口と出口を関連づけてデータ公表することが皆無であること

でもそれはわかるはずです。

さて、いつものように首都圏模試の結果偏差値(80%)に落とし込んでみます。

東京都市大付属は2/1PMの1次入試で2類が68、1類が62でその差は6、

でした。全日程を見渡しても最高が68で最低が62です。

このほか男子で入試日程によって差があるのは鎌倉学園。

2/1PM算数選抜が71で2/5の3次入試が63でその差は8でした。

ただし18年入試ではこの2/5を廃止し2/1AMに入試を新設します。

鎌倉学園の4回の入試の中で3次入試はもっとも倍率の高い4.2倍でしたが、

合格ラインは下がりました。その時点で優秀な受験生が残っていないと

判断したようです。

女子で日程によって差が大きいのは大妻多摩。

2/1PMでは59ですが、日程が進んで2/2の2次では52まで下がり、

2/4の3次入試では実質倍率1.1倍で合格ラインは出ませんでした。

大妻中野は2/1PMの(2)アドバンストでは60でしたが、

2/3AMの(4)アドバンストでは47まで13も下降。

共学校の明治学院も女子は2/1PMの1次では59ですが、

つづく2/2AM,2/4AMの2次、3次では46と、こちらも13の開きがあります。

結果として午後入試で他校が第一志望の併願生を一定数獲得できれば、

それなりの高さで合否ラインを引くことができ、偏差値表でも

浮上しますが、志望順位が高く2次、3次の午前入試も

粘り強く受けてくれる層は確保するのが難しく、

合格ラインが極端に下がってしまうことになります。

かつてよりも中学入試が短期決戦になっているのも併せて考えると、

たとえ目玉の午後入試1回だけでも、偏差値を下げないようにと

中堅校の苦労は絶えないということなのでしょう。

これでは出口の実績も連動するというわけにはいきません。

受ける側からするとこうした合格ラインに開きがある学校の場合、

諦めずに受け続ければ必ず突破できるわけですが、

裏返すとそうした受験生が少なくなっているために、

こうした入試&偏差値状況であるとも言えます。

偏差値表を日程別ではなく「学校別」に見ていくと

見えてくる現実です。

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