自分がここまで神奈川の中高受験に対して
抱いていた印象は、
・神奈川のトップ私立進学校の多くは高校募集がない
・そのため結果的に県内の高校募集を行う私立進学校は中堅以下が多く、
公立トップクラスと併願する受験生の多くは東京の私立も受験
・中学の成績で受験できる学校が限定されるため、
公立トップ校の序列に動きは少なく、唯一新設校の
横浜市立サイエンスフロンティアのみが目覚ましい伸びを見せている
こんなところです。
ここでもっとも重要なのは、どの立ち位置に立って
「神奈川では中学受験しかない」と考えるかです。
それでは分布図から見てみます。
昨日の東京と比べてみましょう。
1都3県TOP100にランクインしている私立中高一貫校は21校で、
東京の46校に比べて半分以下。
それに比べて同レベルの県立・市立は17校。
都立は同レベル17校でしたから、公立高校も優秀な成績である
ことがわかります。
少し意外な気がします。
ただ国立難関大に合格者を多数輩出する超トップ層は
私立が圧倒的優位。湘南と並んで県立ツートップを続けていた
横浜翠嵐の合格層の薄さにはがっかりです。
東京が都立中高一貫校開設を計画したときに、神奈川は消極的で
改編する対象は相模大野、大原の中堅校2校だけでした。
上位の学校に手をつけることはありませんでした。
ここから東京は都立が私立に比べて劣勢という判断から
改革を推し進めたのに対し、神奈川はその必要性を感じていなかった
ことがうかがい知れます。←事実誤認…神奈川県立校も進路実績改善に向け、改革を進めています。
のちに1期生、2期生を輩出したこの県立中等教育学校は
これらの県立17校に負けない実績を残しましたから、
県教委にさほど危機感はないのかもしれません。
動きがあるとすれば横浜市立高。
今後一貫生が卒業する市立南、そして中学が開設される
市立サイエンスフロンティア以外にも、市立金沢や市立桜丘など
堅実な実績校が目立ちます。
すでに本ブログで書いたように神奈川県の高校入試制度の
歪みの原因のひとつはア・テストであり、それが高校入試回避、
6年間完全中高一貫校優位の体制を形成したことは明白です。
進路実績TOP100にランクインする私立中高一貫21校のうち、
高校募集がある学校はわずかに4校ですから、
東京と比較しても、中学入試で不首尾であるから、
高校受験でリベンジというセーフネットが機能しにくい
環境であることがわかります。
つまり1都3県でもっとも保護者が早く決断を
迫られるのが神奈川なのです。
あくまで環境的な要因ですが、一部ではその圧迫感は
無視できないものであると感じます。
いっぽうでこの川和、横浜翠嵐の併願生を多く期待できる
青稜(品川区)が高校入試で
おいしいポジションにあることもよくわかるかとも思います。
神奈川公立高校、1都3県TOP100相当ランクインの17校は
以下の通りです。
最低でも横浜国立大、それがダメならMARCH合格確保という
目標であればかなりの確率で達成できる学校が多数ある
ことがわかります。
「公立高校3年間+予備校で合格」と「私立中高一貫で現役合格」
は学費の面で比較したなら、明確な差があることでしょう。
この部分でも保護者は早めの決断を迫られるということになります。
明日は千葉、ですね。
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●当ブログにおいて難関大学とは以下の3つのカテゴリーに分けて含まれる大学を指します。
国公立20大学=東京、京都、一橋、東京工業、北海道、東北、大阪、筑波、千葉、埼玉、東京外国語、東京学芸、東京農工、東京藝術、東京医科歯科、電気通信、首都大学東京、お茶の水女子、横浜国立、横浜市立
早慶上智=早稲田、慶應義塾、上智
MARCH=明治、青山学院、立教、中央、法政です
総合数値は「国公立20大学」×1.5、「早慶上智」×1.2、「MARCH」×1.0として合算。
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東京、神奈川と興味深いデータ解析をありがとうございました。神奈川においては進学実績だけで見ても目標設定によっては「中学受験するしかない」状況であることがはっきり見えます。百校計画、ア・テストを経て、今に至る場当たり的な高校入試改革と統廃合は、腰を据えた教育の難しさを感じます。教育環境を選ぶという意味でも勉強が必要ですね。