これからの話はけっこうマニアックな話と受け取られるかもしれません。

私立高校関係者にとっては内幕暴露と嫌がられるかもしれません。

ただあらゆる物事の深層を読み解くにあたって、

「それがすべてではない」要素の複合的な関連は重要だと思っています。

1都3県の中学入試。

埼玉は1月10日スタート。千葉は1月20日スタート。

東京・神奈川は2月1日スタート。

そもそもなぜこういう日程になったか、キタシロは知りません。

しかし、この「ルール」はほぼ厳正に守られてきました。

唯一の例外は帰国子女入試。

かつて東京のある学校が「帰国子女入試」という名称で

帰国子女の要件を緩めて実施したケースがありましたが、

結局自粛しました。

また別の学校は入試会場を都外に設定して1月に実施しようとしたところ、

フライングの指摘を受けて中止するに至りました。

東京の私立中高協会は組織としてなかなかに強固であり、

拘束力は強いと言えます。

東京の協会は東京都とも密接な関係を築き、

都内の私立中高の経営環境・教育環境の整備に余念がありません。

都教委(教育庁)は主に都立学校を管轄しており、私立中高は都の生活文化局私学部が

担当しています。

しかし、戦後すぐの時代から都内の教育環境整備について

協力し合ってきました。高校の募集定員の設定について教育委員会と

協議できる存在は東京の私学協会だけでしょう。

少子化という大きな流れの中、公立が適切に募集定員を設定しないと、

私立高校は経営を圧迫されることになりかねません。

多くの都道府県で教育委員会が主導し、公立私立の共存共栄を

図っているように思いますが、公立側が募集定員を絞り込むほうが

私立側の利益になることは明白です。ただそれは一般の利益に

反するとも言えるわけです。

なかなか難しい問題です。

都において高校入試の定員について教育委員会と私立側が

激しいバトルにならないのは互いの力関係もありますが、

高校募集をしない私立中高の存在も大きいかもしれません。

ただし、高校募集をしない私立中高は神奈川県内にも

多く存在します。東京の私立高校と比較して、

神奈川の私立高校はなかなか募集に苦労をしています。

人気のある上位進学校とそれ以外にはっきり分かれているからです。

「いわゆるB推薦」をご存知でしょうか?

「いわゆる」をつけたのは厳密には都県や学校で名称が違うからです。

高校入試の話です。

まず私立高校を推薦入試で受験します。このとき調査書点(内申点)が

学校の基準に達しているかを確認します。

基準に達していればその私立は合格になります。

推薦入試ですから、筆記試験はまったくないか、形だけです。

調査書点のわりに筆記の出来が極端に悪ければ、合格にならないときも

ありますが、ほぼここで合格が決まります。

この「いわゆるB推薦」は、このあとこの受験生が公立高校を受験し、

合格したら、この私立に進学しなくてもいい、というシステムです。

つまりは「思う存分に公立高校を受験しといで。万が一ダメだったら

ウチが待っていてあげるよ」受験です。

もちろんフタマタはいけませんよ。

その私立との「公立ダメだったら入学します」の確約です。

この制度がもっとも発展したのは埼玉。

公立ダメでも私立が待っている」ために、受験生は思いっきりランクの高い、

公立へチャレンジします。倍率は上昇します。その結果として、

私立は入学生を確保できてホクホクです。

ところがこのシステムは青田買い傾向を加速させます。

私立が早いうちから「キミの成績ならウチ合格だよ。どう?」と

声をかけまくったらどんな状況になるでしょうか?

夏から秋にかけて私立高校の説明会が各地で開催されていきますが、

そこで受験生を見つけるなり、キミどんな成績? その成績でウチが

受かるかどうか、見てあげよう…とこうなります。

もうそこで「合格だね」と言われた受験生はどうでしょうか?

「公立が第一志望だから心置きなく勉強頑張る!」となれるでしょうか?

ある時期、埼玉と接する東京の私立高では、埼玉にならって

この手法を入試制度に取り入れていました。

ところが十年ぐらい前の実情では中学によってその制度を知っている

先生と知らない先生がおり、不平等が生じていたのです。

なぜなら東京の私学協会が「それは禁止」としたからです。

きっとこれは「青田買い」助長に問題があるという判断だったのではないでしょうか?

推薦入試とはそもそもその高校が第一志望の生徒が中学校から

推薦されてその高校を受験するもの、です。

それを「公立に受かったらそっちへ行っていい」は推薦入試ではないからです。

ということで、推薦入試が終わったあとの一般入試では可能です。

しかし私立中高は多くの定員を推薦入試に割いて、早く生徒を確保したいわけです。

さて、ここでちょっとだけ中学入試に頭を切り替えてみます。

同じ高校で中学を併設していて、高校入試ではいち早くそこそこのレベルの受験生で

定員を埋めたい!と考えている学校が、中学入試に際して

「6年間の一貫教育で難関大学へ合格できるようにしっかり育てます」

に素直に共感できるでしょうか?

イケイケドンドンの埼玉入試に対し、埼玉生の流入を期待する東京北部の学校は

協会の「B推薦禁止」には苦慮するわけです。

もうこれは「推薦入試」の前にBがついているかどうかではなく、

推薦入試の「手続き期限」に特例として、都立高校の合格発表日当日以降になってないか、

要項の細かい読み込みを求められました。

最終的な落としどころは「埼玉生入試」「東京生入試」の分離という現象を生み出したのです。

埼玉の公立高校を第一志望とする埼玉の受験生に対しては、公立発表まで入学手続きを待つが、

東京生に対しては「入学手続き保留を希望するなら一般入試を受けてください」

なんとややこしいのでしょう。

しかし。こんなややこしい募集要項は都内私立高校全般のものでは決してありません。

埼玉県に近い東京私立特有のものであるとも言えるのです。

このとなり合う都県の私立高問題、続きます。

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