前回のエントリーでは、公立中高一貫校の黎明期についてふれました。

2002年の学習指導要領改訂の言い訳のようにして推し進められた(公立の)中高一貫ブームは

あっという間にしぼんでしまいました。

2013→2014年の出願者比較では38都道府県において28道県で出願者は減少しています。

まあなかなかベースのない地域には定着しないということです。

岡山県や長崎県など高校入試が総合選抜制で「行きたい高校に進学できるとは限らない」地域だけ、

細々と残ったようにも見えます。

機を同じくするように、当時は都立高校改革の真っただ中でした。

学校群制度によって一旦は活力を失った都立高校を再編し、

あまりに大きく開いた私立との差を縮めていこう、という意図が都教委にもあったのでしょう。

トップを切って2005年に募集スタートしたのが白鴎高校附属中。

翌2006年には小石川、桜修館、両国そして千代田区立九段で中学募集がスタートしました。

おさえておきたいポイントは…

白鴎、両国併設型の中高一貫校(高校募集を行う)で、

小石川、桜修館、九段は高校募集のない中等教育学校ということです。

当然ですが都教委は複数のタイプの中高一貫校を設置したわけです。

また21世紀初頭ともいえるこの時期、文科省の高校入試に対する施策は

県ごとに行われている様々な選抜方法を統一化するのではなく、

逆に各都道府県の中でも学校の独自性を打ち出すように背中を押しました。

その学校が入学させたい生徒像を明文化し、学校ごとの特色ある選抜を指導したのです。

そういう時代の中、特に公立関係の高校入試情報はただただ膨大になり、

情報を集約する側も受け取る側も手に余るものとなりました。

自分が在籍していた編集部でも全国47都道府県の高校入試情報を扱うのには

作業負荷がかかりすぎ、このころ、とうとう情報発信業務を断念することになりました。

現在その情報を扱っているのはベネッセだけと認識していますが、

よほど多くの顧客を抱えない限り、このままの作業負荷を継続するのは

事業的になかなか難しいのではないでしょうか? それに少子化は継続しています。

顧客は自分の志望校1、2校の情報がほしいだけです。

しかし、そのどの1校の情報も迅速に引き出せるようにするには、その何百倍もの作業が発生します。

しかも、偏差値で輪切りにできるわけでなく、その学校の「特色」をしっかりつかまねばなりません。

はっきり言って無理です。

そして、受験生側が欲しい情報は「いまの自分の成績で合格するかどうか」の

一点ですから、偏差値(模試)だけで判断できない要素が加わるともうお手上げです。

よくわかんないけど、受けてみれば?

もし第一志望(公立)がダメだとまずいから私立も押さえておけば?

ということで真剣に情報分析してもユーザーに還元しにくい環境が出来上がっていきました。

高校入試において、次年度の動向・展望が情報として必要になる場合がありますが、

ほとんどの都県では変化がないため波風が立ちません。

ごくたまに少子化による再編・統合で学校数に変化が生じた場合に、

下位の学校からドミノ倒しになることはあっても、「来年の高校入試はこうなりそう」は、

毎年紋切り型で機能していたとさえ言えます。

志願者数、学校数が多い都立高校の場合でも、隔年現象で次年度を推測するのみ。

「去年倍率が上がったから、ことしは敬遠されるはず」

「去年競争率が緩んだから、ことしは人気になる!」

これが男子・女子がほぼ相関なく発生するわけです。

結局は学校ごとの特色をはっきり打ち出す施策も

偏差値・難易度順に受験校決定する図式を変えることはできなかったようです。

公立の場合、学校が求めている生徒像と受験生のマッチングは実際にはなかなか難しいと言えます。

学力検査の問題は一律なわけですから。あとは調査書の換算法に学校ごとのバリエーションをつけるだけ。

たいていの場合、調査書の段階で合格可能性は決まってしまい、学力検査で逆転できる枠が若干残される程度。

その1~2割の逆転枠を突破するリスクを受験生が冒すかといえば、受験校のランクを下げたほうが無難です。

ただし上位校になると学力検査で差がつかないため、都は日比谷、戸山、西、八王子東、青山、国立、立川の7校を

進学指導重点校とし、(共通問題を使用せず)「独自の入試問題」を作成してきました。

都立中高一貫校の母体校はこれら進学指導重点校が決定されたのとほぼ同時に

「一貫教育」というチャレンジに向かった次位の学校群なのです。

その後、進学指導特別推進校、進学指導推進校などの指定があり、

ざっくり言えば都立高校はグループごとに私立に負けない進路実績を目指したと言えるでしょう。

私立側も2005年の白鴎高校附属の開校当時はかなりの危機感を持っていたようですが、

都立中高一貫校が私立全体の上位5分の1程度の実力であることが見えてきて、

競合する学校はほんの一部ということがわかりました。

逆立ちしてもかなわない学校もはっきりしたわけです。

ある意味で、丸く収まったということでしょうか?

となると、区立九段も含めて11校開校した公立側の意識がどうあるのか、

そこが問題になります。

(再掲はここまで)

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