「公立中高一貫校」

実は創刊時は担当ではありませんでしたが、たしか15年ぐらい続いた

公立中高一貫校専門情報誌の担当をラスト5年ほどやりました。

いやあ不毛でした。

誤解しないでください(笑)。

仕事が不毛だったわけではなく、「公立中高一貫校」というくくりが不毛だったと言いたいのです。

そもそも「ゆとり教育」で話題になった2002年の学習指導要領の改訂。

その後、軌道修正されて、「ゆとり教育」はマイナスイメージでばかり語られています。

まあ、結果的に失敗しましたからね。

ただ、このころ「中高一貫校を増やそう」という方向性が文科省より示され、

「500校計画」なるものが進行していました。

2004年ごろは、今、何校まで来た、と数えていましたよ。

その流れを受けて、公立中高一貫校の開設が推進されました。

ただし、47都道府県同時に、というのは果てしなく無理な話で、

信じられない温度差が発生しました。

現在にいたる流れは、一気に書き進められる内容ではありませんので、

少しずつ書きますが、それにしても、都道府県って文科省の号令に

こうも逆らうものなのか、と笑ってしまうほどでした。

その流れの中で、東京都は率先して、「都立校改革」とリンクさせて

積極的に進めたものですから、都立中高一貫校=公立中高一貫校の象徴という

具合にクローズアップされました。

版元としては、首都圏版じゃなく全国版の情報誌!と思ったものですから、

47都道府県の取り組みを横並びに調査したのですが、

公立中高一貫校が成功したと言えそうな府県は一握りでした。

複数の学校が開校し、その総志願者数が1000人を超えた府県は

宮城(3),茨城(3),群馬(3),千葉(2),東京(11),神奈川(4),新潟(8),京都(3),

和歌山(5),岡山(4),広島(3),佐賀(4),長崎(3)

カッコ内は開校数(2014年4月時点)

なおかつこの中で1校あたりの志願者数が400人を超えているのは、

宮城、茨城、群馬、千葉、東京、神奈川、京都、岡山、広島の9都府県。

新潟などは8校でようやく1000人超えでした。

たくさん開校しても、倍率1倍がやっと、という県もいくつかありました。

また、この時点で山形、富山、福井、愛知、岐阜、三重、鳥取、島根

では公立の中高一貫校はただの1校も開校しておらず、

山形県以外は設置計画すらないありさまでした。

どうなんでしょうか? この温度差!

なんとなく見ていただければわかるのですが、隣の県が成功しているのに

指をくわえてみているわけにいかない、というライバル意識が強いんです、

日本の教育。(逆に隣県がやるまではこっちも動かない…)

特に高校入試などでは必ず隣県を意識します。

あっちがそうくるなら、わが県は…。

興味深いことに山形以外は

孤立して「設置しない!」を貫いている県はありません。

また県がやらないなら、県庁所在地の市が作る。

(北海道は登別市に1校しか作っておらず、先般札幌市が開設して大人気!とか)

そういうものなんでしょうかね?

結果的に「公立中高一貫校」を進路の選択肢に考える都府県は全体の4分の1ほどで

ごく一部の地域でしか知られていない存在となってしまいました。

そして千葉県だけが例外で、ほとんどの都県では公立のトップ校はそのまま維持して

当たり障りのない中堅上位クラスの高校を中高一貫に改組したわけです。

当然そのせいで進路実績がトップ校を上回るということは起こらず、

(県内トップ校の地位は安泰で)

「受験競争」(正しくは受検ですが)が(中途半端に?)過熱するマイナス面だけが

クローズアップされていきました。

しかも不公平極まりないことをわかっていて、適性検査をクリアした

受検生を抽選して入学候補者を決める、というような制度で

選抜を進めたケースもあり、大ブーイング。

結局、一部の地域を除いては

「そういう小学生のうちから受験を煽るようなことはしてはいけない」

という保守的なカタチで500校計画は収束を迎えたようです。

この際、日本全体にとって、中高一貫教育にどんなメリットがあるのか、は

結局どうでもよかったようです。

そのぶん首都圏、関西圏での私学を中心にした、一貫教育の優位性は

なんとか保たれたとも言えるのかもしれません。

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